Scilabで学ぶフィードバック制御入門
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制御の安定性:2次遅れ系


2次遅れ要素で有用なものは1次遅れ要素を直列接続したものと、2次の振動計に大別されます。

1次遅れ要素の直列接続

1次遅れ要素の伝達関数は、1/(Ts+1) で表されました。
これを直列接続するので

となります。

T = 1 とした場合のステップ応答を確認します。
コンソール画面
-->t=linspace(0,8,100);         //←時間変数 t へ 0〜8秒 を100分割した値の配列を設定
-->s=%s;                        //←多項式の変数 s を定義
-->G=1/(s+1)^2;                 //←1次遅れ系・直列接続例の伝達関数
-->sys=syslin('c',G);           //←連続時間線形システムへ、関数 G を登録
-->y=csim('step',t,sys);        //←sys へステップ入力( t秒 )を与えた場合の出力変化を y に得る
-->plot(t,y)
-->xgrid()
-->xtitle('Step Respons','Time(sec)','Amplitude')

<実行結果>


1次遅れ要素と比べ滑らかになりました。
S字曲線になっており、 t=0 においても微分可能で、1次遅れ要素とは異なります。

振動系

2次遅れ要素の振動系の伝達関数は、次式がよく使われます。

ζ 減衰係数
ωm 固有振動数

これを以前考察したRLC回路から考えます。
ステップ入力に対するCの電圧降下における伝達関数は、次のように求められました。


これを変形します。


とすると
より
になります。

同じく
より
になります。

RLC回路の場合へステップ信号を入力したときのCの電圧降下は
が固有振動数 が減衰係数
となります。

減衰係数ζは、特性方程式の根を決定する重要なパラメータとなり、システムの安定性関わります。
また、固有振動数ωn はシステムの即応性に関わるパラメータです。

2次遅れ要素(振動系)の特性根

2次遅れ要素(振動系)の特性根をその式から求めます。


を解の公式で解くと

となります。

減衰係数の値によってステップ応答は次のような特徴を持ちます。
ζ=0 無減衰
ζ=1 臨界減衰 立上りが急
ζ>1 過渡減衰 立上りが緩やか
0<ζ<1 不足減衰