Scilabで学ぶフィードバック制御入門
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周波数応答:1次遅れ,ムダ時間


一次遅れ要素・ムダ時間要素による周波数応答をみます。

一次遅れ要素(近似積分要素)

一次遅れ要素の伝達関数は次式です。


したがって、周波数伝達関数は次式で与えられます。


ボード線図を描画します。
コンソール画面
-->s=%s;                       ←多項式の変数 s を定義
-->T=1/(2*%pi);                ←折点周波数を 1Hz にするため時定数を1/(2*π)とした
-->G=1/(T*s+1);                ←微分要素の伝達関数 G を定義
-->sys=syslin('c',G);          ←連続時間線形システムへ伝達関数 G を登録
-->bode(sys,1e-3,1e1,0.01)     ←ボード線図を描画


むだ時間要素

水の流れる配管を考えます


バルブを操作直後の流量を x(t)[m3/s]とし、配管を通ってD[s]後に放水した流量をy(t)[m3/s]とすると次の関係が成立します。
y(t) = x(t - D)

これをラプラス変換するとその定義から次式となります。


ここで t-D をτと置いて、次式にします。
(τ<0 で x(τ)=0 なので、積分に影響しないので-Dを0に置き換えた)

この式の積分の項は、ラプラス変換の定義そのものです。

したがって、次のように書き換えられます。


結果、ムダ時間要素の伝達関数は、次式で与えられます。


また、周波数伝達関数は次式の通りです。
オイラーの公式を利用

これを極座標形式に変換します。


ゲイン 20log10 |1|
位相 ∠-Dω

Dを1とした場合のグラフを描画します。
コンソール画面
-->x=logspace(-1,2,1000);      ←10^-1〜10^2 を 1000分割した等比数列を取得
-->y=-x;                       ←位相は-ω
-->plot2d(x,y,logflag='ln')    ←x軸を対数で表示したいのでplot2dを使用
-->xgrid()                     ←グラフにグリッドを表示

グラフ表示関数
plot2dt(x,y,logflag='ln') x x軸データ
y y軸データ
logflag='ln') グラフ軸の性質を定義する
'nn' xj軸=リニア、y軸=リニア
'nl' xj軸=リニア、y軸=対数
'ln' xj軸=対数、y軸=リニア
'll' xj軸=対数、y軸=対数

<実行結果>