Scilabで学ぶフィードバック制御入門
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数学の準備:複素数


電気回路の分野では、正弦波を扱うことが多くあります。
正弦波を扱うには、振幅の大きさと位相を表現する必要があります。



瞬時値は、三角関数を使って次のように表せます。
  • i(t) = Im * sinθ+φ・・・(上図の場合、φの値はマイナス)
電気工学の世界では、解析が簡易化できる理由から複素数を用いて表現することが多くなされます。

複素数

複素数とは、実数と虚数(になる数)の和で表されます。
  • Z=a+jb
    数学の世界では虚数単位に i を使いますが、電気関連では電流との混同を避けるため j を使います
この式の a と b は、それぞれ複素数 Z の実数部、虚数部といい、下記のように表します。
  • a=Re(Z)
  • b=Im(Z)
複素数の表示方法は、次の3通りがあります。
  1. 直角座標表示
  2. 極座標表示
  3. 複素関数表示

直角座標による表示

横軸を実数に、縦軸を虚数とした直角座標を複素平面(ガウス平面とも呼ばれる)と言います。
複素数 Z=a+jb は下図のように表わすことが出来ます。
これを複素数の直角座標形式と言います。


極座標による表示

極座標による表示は、複素数 Zを原点 0 までの距離 r と実数軸からの角度 θ で表す方法です。


数学的表現では、Z=r∠θ と記述します。
ここで、r を Z の絶対値、または大きさといい、θ を Z の変革、または位相角といいます。
直角座標表示の a、b と r、θ の関係は、次の通りです

、 

a = r cos θ、 b = r sinθ

指数関数による表示

オイラーの公式を使います。


この式を使って、複素数 Z の絶対値を r、偏角をθとすれば

となります。

これを複素数の指数関数形式と言います。

オイラーの公式の導出
eをテイラー展開すると次式になる。


この式の x を jθ に置き換えると

になる。
ここで、・・・なので次式のように実数部と虚数部にくくることが出来る。
    
sinθ、cosθをテイラー展開すると


であるから、オイラーの公式 にまとめることが出来る。

複素数の四則演算

<加減算>
加減算は直角座標形式で計算すると容易です。

 Z1 = a1 + jb1、 Z2 = a2 + jb2とすると
 Z1±Z2 = (a1±a2) + j(b1±b2)

<乗除算>
乗除算は極座標形式、あるいは指数関数形式で計算すると容易です。

 とすると
 
 

複素数:乗算の証明

複素数:除算の証明