Scilabで学ぶフィードバック制御入門
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制御の安定性:フィードバック


フィードバック制御の目的は、ある値を目標値に保つことです。
その目的を達成するためには、制御系が安定している必要があります。
安定性を評価する手法について解説していきます。

安定性評価・解法−1

下図のフィードバックの安定性について考えます。
↓ 等価

入力と出力の関係は、次式で示されます(参照)。


例として次式の伝達関数を持つフィードバック系の安定性をステップ応答で考えます。

ステップ入力をラプラス変換すると 1/s になります。
出力Y(s)は

となります。

ラプラス逆変換をし易いように部分分数展開を行います。


ここで、

なので、α・β・γは次のように求められます。




求めたα・β・γを代入すれば次式が得られます。


得られた式をラプラス逆変換します。


この式について t→∞ にした場合、

となります。

これから、長い時間経過後は、定常値 = 1に落ち着くことが分かります。
したがって、このシステムは安定である考えられます。

解法−2

伝達関数の分母を 0 とおいた方程式を特性方程式と言い、その解を特性根と言います。
この特性根が、全てマイナスであればそのシステムは、安定しています。
前節の例で調べます。

伝達関数は次式で与えられました。


分母は、

なので、

を解きます。





sの解は、全てマイナスなのでこのシステムは安定しています。
sの解 ラプラス逆変換
マイナス e-Xt 指数部にマイナス値をとるので、時間が十分長くなれば、0 に落ち着く(安定)。
0 e0 1 固定なので、発振
プラス et 無限に大きくなるので発散

Scilabでの確認

前節の結果をグラフ化して確認します。

コンソール画面
-->t=linspace(0,30,100);           //←時間変数 t へ 0〜30秒 を100分割した値の配列を設定
-->s=%s;                           //←多項式の変数 s を定義
-->G=1/(6*s^2+5*s+1);              //←例(フィードバック)の伝達関数
-->sys=syslin('c',G);              //←連続時間線形システムへ、関数 G を登録
-->y=csim('step',t,sys);           //←sys へステップ入力( t秒 )を与えた場合の出力変化を y に得る
-->plot(t,y)
-->xgrid()
-->xtitle('Step Respons','Time(sec)','Amplitude')

<実行結果>


時間経過とともに 1.0 へ限りなく近付いているのが分かります。