Scilabで学ぶフィードバック制御入門
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周波数応答:比例・微分・積分


比例要素・微分要素・積分要素による周波数応答を見ます。

比例要素

比例要素は次式となります。
G(jω) = K
(K:比例定数)

K=10のときのボード線図をSicilabで描画します。
Scilabを使ってボード線図を描画します。
コンソール画面
-->s=%s;                      ←多項式の変数 s を定義
-->G=10/s^0;                  ←伝達関数 G を定義
-->sys=syslin('c',G);         ←連続時間線形システムへ伝達関数 G を登録
-->bode(sys,1e-3,1e2,0.01)    ←ボード線図の描画

<実行結果>


ゲイン
位相差 ∠G(jω) = 0

微分要素

微分要素の伝達関数は、G(s) = Ts です。
これから、周波数伝達関数は、次式となります。
G(jω) = jωT

しかし、これは理想的な微分要素なので、現実ではあり得ません(参照)。
近似微分要素も合わせてシミューレションします。
近似微分の伝達関数は で表されました。
したがって、周波数伝達関数は次式になります。


この両者をScilabに描画させます。
コンソール画面
-->s=%s;                                  ←多項式の変数 s を定義
-->T=1/(2*%pi);                           ←折点周波数の説明のため時定数を1/(2*π)とした
-->G1=T*s/s^0;                            ←微分要素の伝達関数 G1 を定義
-->G2=T*s/(T*s+1);                        ←近似微分要素の伝達関数 G1 を定義
-->sys1=syslin('c',G1);                   ←連続時間線形システムへ伝達関数 G1 を登録
-->sys2=syslin('c',G2);                   ←連続時間線形システムへ伝達関数 G2 を登録
-->subplot(1,2,1),bode(sys1,1e-3,1e2,0.01)  ←グラフ描画位置の1番目の領域にボード線図を描画
-->subplot(1,2,2),bode(sys2,1e-3,1e2,0.01)  ←グラフ描画位置の2番目の領域にボード線図を描画

描画領域分割関数
subplot(m,n,p) グラフィック領域を m*n のサブ領域に分割し、カレント描画位置を p で指定
(i,j) のサブ領域 p は (i-1)*m + j で得られる



左が微分要素、右が近似微分要素のボード線図です。

近似微分要素のゲイン特性を見ると、周波数が高くなるとともにゲインが増加しています。
このことから、ハイパスフィルターの特性を持っていることが分かります。
また、そのゲイン特性は周波数が10倍ごとに、ゲインが20dBずつ上がっています。
この特性を 20dB/decade の傾斜と言い、微分要素が含まれているとこのような傾斜になります。

位相特性は全ての周波数で正の値になっています。
この事から、近似微分要素は位相を進ませる性質があることも分かります。

<折点周波数>
1/T(時定数)の周波数を折点周波数と言います。
シミュレーションでは、T(時定数)を 1/(π*2) としました。
周波数伝達関数は rad(ラディアン)で指定しますが、グラフは周波数で表示されます。
折点周波数を分り易く 1Hz にするためにこの時定数を使いました。

折点周波数でのゲインは-3dBです。
この点より低い周波数では、ゲインが小さくなります。

積分要素

積分要素の周波数伝達関数は次式で与えられます(参照)。


これを極座標形式へ変換します




したがってゲインは (dB)、位相は-90°になります。

ボード線図を描画します。
コンソール画面
-->s=%s;                      ←多項式の変数 s を定義
-->G=1/s;                     ←近似微分要素の伝達関数 G を定義
-->sys=syslin('c',G);         ←連続時間線形システムへ伝達関数 G を登録
-->bode(sys,1e-3,1e1,0.01)    ←ボード線図の描画