Scilabで学ぶフィードバック制御入門
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PID制御(Xcos):概要


PID制御は、もっとも広く使われている制御方式です。
その概要と特徴を述べます。

単純ON/OFF制御

設定した目標温度にヒータを使って一定に保ちたい場合の温度制御システムを考えます。
単純ON/OFF制御の場合、目標温度に対して実際の温度は高低を繰り返し、一定になりません。

PID制御の概要

単純ON/OFF制御では、ヒーターからの熱量は2値しかありません。
これをもっときめ細かく制御する方法の一つがPID制御です。

目標値と現在温度の差を見て、ヒーターからの熱量を制御します。
この制御の方法は、次のようになります。

偏差=目標値(目標温度) - 操作量(熱量)として
  1. 偏差に比例した出力を出す動作…比例動作(P)
  2. 偏差の時間積分に比例した出力を出す動作…積分動作(I)
  3. 偏差の時間的変化率に比例した出力を出す動作…微分動作(D)
この3つの動作を行う制御のことをPID制御と言います。

ここで、制御偏差を e(t) とすると、操作量 m(t) は次式で表せられる。

KP、KI、KDは定数です。
この式は、次のように表すのが習慣となっています。


PID制御基本式のラプラス変換

PID制御の基本式をブロック図で表すと次のようになります。

sv(t) =目標値
pv(t) =測定値
e(t) =制御偏差
m(t) =操作量
KP =比例ゲイン
P =比例動作
I =積分動作
D =微分動作

これをラプラス変換すると

となります。

次節では、各動作をScicosでシミュレーションしながらその特徴を見ていきます。